第2章:リスクベースドテストにおけるテストアナリストのタスク
プロダクトリスクの識別、可能性と影響の評価、リスク軽減、テスト優先度付けを扱う。
問題1
次の活動を、リスク識別とリスクアセスメントに分類しなさい。
| 活動 | 分類 |
|---|---|
| a. ドメイン専門家へのインタビューで潜在的な問題を列挙する | ? |
| b. リスクが発生した場合の金銭的損失を評価する | ? |
| c. リスクが本番で観察される可能性を評価する | ? |
| d. 過去の類似プロジェクトで起きた問題を列挙する | ? |
| e. リスクレベルを高・中・低に分類する | ? |
解答・解説
解答:
- リスク識別:a、d
- リスクアセスメント:b、c、e
リスク識別は、できるだけ幅広くリスクを見つける活動である。リスクアセスメントは、識別されたリスクの可能性・影響を評価し、リスクレベルを決める活動である。
問題2
次のリスクのうち、テストアナリストが特に評価に貢献する内容として最も適切なものを選びなさい。
- 欠陥を検出するアルゴリズムの計算量
- リスクが発生した場合の顧客・業務への影響
- ソースコードの分岐数
- テスト自動化ツールの内部実装
解答・解説
正解:2
テストアナリストは、ビジネスドメインやユーザーへの影響を評価することに貢献する。例えば、利用頻度、金銭的損失、法的制裁、機能安全、回避策の有無、顧客喪失などを考慮する。
技術的な検出可能性や内部実装は、テクニカルテストアナリストや開発者と連携する領域である。
問題3
次の状況で、最初に採用するテストの進め方として最も適切なものを選びなさい。
決済処理の誤りは発生確率が中程度だが、発生すると法的・金銭的な影響が非常に大きい。一方、ヘルプ画面の表示崩れは発生確率が高いが、業務影響は小さい。テスト時間は限られている。
- すべてのテストをランダムな順序で実行する
- ヘルプ画面のテストだけを先に完了する
- 決済処理を高リスク領域として優先し、残余リスクを報告する
- 発生確率だけで並べ、ヘルプ画面を先に実行する
解答・解説
正解:3
リスクレベルは、通常、可能性と影響を組み合わせて決める。発生確率だけでなく、発生した場合の影響が大きい決済処理を優先する。
時間内にすべてを実行できない場合、残っているリスクをマネジメントへ報告し、テスト延長やリスク移転を判断してもらう。
問題4
次の説明の組み合わせとして正しいものを選びなさい。
| 探索 | 説明 |
|---|---|
| a. 縦型探索 | 高リスク領域のテストを深く進めてから、低リスク領域へ移る |
| b. 横型探索 | すべてのリスク領域を少なくとも一度はカバーし、リスクで重み付けする |
- aだけ正しい
- bだけ正しい
- aとbが正しい
- aとbが誤り
解答・解説
正解:3
縦型探索(depth-first)は、高リスクから順に深くテストする。横型探索(breadth-first)は、全リスク領域を広くカバーしながら、リスクの高い領域に重みを付ける。
問題5
新しい Web サービスで、ユーザーが初回利用時に操作方法を理解できないリスクが高い。リスク軽減策として最も適切なものを選びなさい。
- 受け入れテストの最終日まで使用性を評価しない
- プロトタイプを使った早期の使用性テストを優先する
- 高リスクなので、すべての低リスクテストを先に実行する
- 使用性は主観的なのでテスト対象から外す
解答・解説
正解:2
高い使用性リスクがある場合、受け入れテストまで待たず、プロトタイプを使って早期に問題を見つけ、修正することがリスク軽減になる。
ここでいうプロトタイプは、完成した製品ではなく、画面遷移や操作感を試せる試作品である。例えば、Figmaなどで作ったクリック可能な画面モックに「商品を検索して購入する」といった代表タスクを用意し、想定利用者に操作してもらう。操作に迷った箇所、タスク完了率、所要時間、誤操作、利用者の発言などを記録し、画面構成や文言を修正して再度確認する。この段階なら、実装済みのコードを大きく変更せずに使用性リスクを下げられる。
問題6
次回のテストサイクルに向けて、リスクを再分析する際に考慮すべきものとして不適切なものを選びなさい。
- 今回のテストで不安定だった領域
- 修正された欠陥に由来するリスク
- テストが不十分だった領域
- 初回計画時のリスク一覧を変更せず、そのまま使用すること
解答・解説
正解:4
リスクアセスメントは一度だけ行うものではない。新しいプロダクトリスク、不安定な領域、修正欠陥、典型欠陥、低カバレッジ領域などを踏まえて、将来のテストサイクルごとに再分析する。
問題7
アジャイルプロジェクトで、リスク識別・アセスメント・軽減を定期的に行う場として最も適切なものを選びなさい。
- コードコンパイルセッション
- リリース後の問い合わせ受付
- 個人だけのテスト実行
- リスクセッション
解答・解説
正解:4
アジャイルでは、イテレーションやリリースに焦点を置いたリスクセッションに、リスク識別・アセスメント・軽減を組み込むことがある。
問題8
重要なビジネスリスクを幅広く識別するために、最も適切な進め方を選びなさい。
- テストアナリストだけでリスクを決める
- ユーザー、ドメイン専門家、要件担当者など幅広いステークホルダーを参加させる
- 開発者の過去の経験を使わない
- 既知の欠陥だけをリスクとする
解答・解説
正解:2
リスク識別では、幅広いステークホルダーの知識を集めることで、重要なビジネスリスクを多く発見できる。テストアナリストは、ユーザーやドメイン専門家と緊密に協力する。
問題9
テストアナリストが識別するプロダクトリスクとして、適切なものをすべて選びなさい。
- a. 誤った料金計算
- b. キーボード操作が不足している
- c. 特定の OS にインストールできない
- d. 開発者の勤務時間
解答・解説
正解:a、b、c
機能正確性、使用性、移植性の問題はいずれもプロダクトリスクの例である。開発者の勤務時間はプロジェクト管理上の要因になり得るが、ここで問うプロダクトリスクそのものではない。
問題10
次のうち、ビジネスリスクの影響を評価する要因として不適切なものを選びなさい。
- 機能の使用頻度
- 法的制裁や機能安全への影響
- 回避策の有無
- テストケースのファイル名の長さ
解答・解説
正解:4
影響の評価では、使用頻度、金銭的・社会的・環境的損失、法的制裁、機能安全、回避策、ブランドや顧客への影響などを考慮する。
問題11
リスクベースドテストにおけるテストマネージャーとテストアナリストの関係として最も適切なものを選びなさい。
- テストアナリストはリスクベースドテストに関与しない
- テストマネージャーはビジネス影響を判断できない
- リスク評価は開発完了後に一度だけ行う
- テストマネージャーが枠組みを確立し、テストアナリストがドメイン知識を提供して識別・評価・軽減に参加する
解答・解説
正解:4
テストマネージャーは通常、リスクベースドテスト戦略の確立・マネジメントに全体責任を持つ。テストアナリストは、ビジネスドメインやユーザーの知識を活かして、リスク識別・アセスメント・軽減へ積極的に参加する。
問題12
プロダクトリスクをテストで軽減する方法として、最も適切なものを選びなさい。
- 期待結果を曖昧にする
- リスクの高い機能をテスト対象から外す
- 欠陥を見つけても記録しない
- 合否を一意に判断できる明確なテストケースを設計する
解答・解説
正解:4
明確な合否基準を持つテストケースは、欠陥を認識し、リリース前に対処する機会を作る。テストが欠陥を見つけなかった場合も、特定条件下で正しく動作した証拠を提供できる。
問題13
テスト中に、ある機能で欠陥が繰り返し発見され、別の関連機能でも不安定な動作が見つかった。この場合の行動として適切なものを選びなさい。
- 既存のリスク一覧を変更せず、予定どおりに進める
- 新しいリスクやリスクレベルの変化として記録し、再評価する
- 欠陥をすべて同じ原因と決めつける
- その機能のテストを中止して結果を報告しない
解答・解説
正解:2
リスクベースドテストは、テストで得た情報を使って既知のリスクを再評価し、新しいリスクを識別する継続的なプロセスである。
問題14
リスクに基づくテストケースの優先度付けは、いつ考慮すべきか。
- テスト実行がすべて終わった後だけ
- 計画段階のできるだけ早い時期から
- 欠陥が 1 件発見されたときだけ
- リリース後だけ
解答・解説
正解:2
必要なテストを必要なタイミングで実施できるよう、計画段階のできるだけ早い時期からリスクに基づく優先度付けを行う。
問題15
高リスクの決済処理について、関連する正常系・異常系・境界値を集中的にテストしてから、低リスクの画面表示へ移る。この進め方は何か。
- 横型探索
- 縦型探索
- ラウンドトリップカバレッジ
- シングルワイズテスト
解答・解説
正解:2
高リスク領域を深く掘り下げてから他の領域へ進む方法は、縦型探索(depth-first)である。
問題16
各リスク領域について、少なくとも 1 つの代表的なテストを実行し、高リスク領域にはより多くのケースを割り当てる。この進め方は何か。
- 縦型探索
- 横型探索
- 境界値分析
- 欠陥ベーステスト
解答・解説
正解:2
全リスク領域を広くカバーしながら、リスクレベルに応じて重み付けする方法は横型探索(breadth-first)である。
問題17
テスト期間が終了したが、一部の高リスク領域に未実行ケースが残っている。テストアナリストが行うべきこととして最も適切なものを選びなさい。
- 未実行を隠して「すべて完了」と報告する
- 残余リスクをマネジメントへ報告し、延長またはリスク移転の判断材料を提供する
- 未実行ケースを自動的に合格にする
- 低リスクの実行済み件数だけを報告する
解答・解説
正解:2
残余リスクを明確に報告し、テストを延長するか、ユーザー・顧客・サポート・運用などへリスクを移転するかをマネジメントが判断できるようにする。
問題18
要求仕様レビューが、テスト実行前のプロダクトリスク軽減に有効な理由として最も適切なものを選びなさい。
- 欠陥がコードになる前に、欠落・矛盾・曖昧さを発見できる
- レビューで発見した問題はテストする必要がない
- レビューはテストケース数を必ずゼロにする
- レビューはビジネスリスクを扱えない
解答・解説
正解:1
レビューは、要件・設計・ユーザードキュメントなどの問題を早期に発見し、後工程での欠陥や誤解釈のリスクを軽減する。レビュー後も必要なテストは実施する。
問題19
新しい UI の使用性リスクが高い場合、適切なテスト計画はどれか。
- 受け入れテストまで使用性テストを延期する
- プロトタイプや初期画面を使って早期に評価する
- 使用性は主観的なので評価しない
- 機能テストがすべて成功するまで評価を禁止する
解答・解説
正解:2
使用性リスクが高ければ、プロトタイプに基づく早期の使用性テストやレビューを優先し、問題を早く発見・修正する。
問題20
計算の正確性リスクを軽減するためのテストアナリストの活動として、最も適切なものを選びなさい。
- ドメイン専門家と協力し、代表的・境界的・異常なサンプルデータを収集する
- すべての入力を同じ代表値にする
- 実データの意味を確認せずにランダム化する
- 正常系データだけを使用する
解答・解説
正解:1
正確性リスクでは、ドメイン専門家と協力して現実的なデータ、境界値、異常値、代表的な組み合わせを準備することが有効である。
問題21
次のうち、次のテストサイクルで再分析すべきリスクとして最も優先度が高いものを選びなさい。
- 大幅に変更された決済機能
- 変更されていない文書の表紙の余白
- すでに対象外と合意した機能
- 過去に一度も使用されない内部メモ
解答・解説
正解:1
新しい、または大幅に変更されたプロダクトリスクは、次のテストサイクルで再評価すべき代表例である。
問題22
欠陥を修正した後に、次のテストサイクルで考慮すべき内容として最も適切なものを選びなさい。
- 修正によって影響を受ける機能や、同様の欠陥が潜む領域
- 修正前のテスト結果をすべて破棄すること
- 修正されたため、関連リスクは必ずゼロとすること
- 確認テストだけを行い、回帰影響は見ないこと
解答・解説
正解:1
修正された欠陥は、修正箇所の周辺や類似領域に新たなリスクを生む可能性がある。確認テストだけでなく、影響範囲やリグレッションをリスクに基づいて再評価する。
問題23
同じ機能で繰り返し故障が発生している。リスクベースドテストとして適切な対応を選びなさい。
- その領域はテスト済みとして優先度を下げる
- 不安定領域としてリスクを高く再評価し、追加テストや原因調査を検討する
- 同じ失敗を重複としてすべて削除する
- その領域の欠陥を別機能の欠陥として報告する
解答・解説
正解:2
テストで不安定・故障が多い領域は、将来のテストサイクルで考慮すべきリスクである。追加テスト、テストデータの見直し、環境確認、原因調査などを検討する。
問題24
リスクベースドテストについて、最も適切な説明を選びなさい。
- 高リスクだけをテストすれば、残りのリスクを報告する必要はない
- リスク優先度によりテストを配分するが、残余リスクと未実行範囲を明示する必要がある
- リスクは計画時に固定され、テスト中には変化しない
- リスクベースドテストではレビューや使用性テストを使えない
解答・解説
正解:2
リスクベースドテストは限られた時間をリスクに応じて配分する方法であり、すべてのリスクをゼロにするものではない。テスト中にリスクを再評価し、未実行範囲と残余リスクを報告する。
問題25
リスクレベルを 可能性 × 影響 で計算する。次のうち、最も優先してテストすべきものを選びなさい。
| リスク | 可能性 | 影響 |
|---|---|---|
| A:ヘルプ画面の文言誤り | 5 | 1 |
| B:決済金額の誤計算 | 2 | 5 |
| C:管理画面の色の違い | 4 | 1 |
| D:低頻度機能の軽微な遅延 | 2 | 2 |
- A
- B
- C
- D
解答・解説
正解:2
B のリスクレベルは 2 × 5 = 10、A は 5、C は 4、D は 4。可能性だけでなく影響を掛け合わせるため、決済金額の誤計算を優先する。
問題26
次の 2 つのリスクが同じリスクスコアになった。追加の優先判断として最も適切なものを選びなさい。
- どちらも必ず同じテストケース数にする
- 法的制裁、機能安全、回避策の有無、利用頻度などのビジネス影響を比較する
- テスト担当者の好みだけで決める
- 可能性だけを再評価し、影響は無視する
解答・解説
正解:2
数値が同じでも、法的・安全上の影響、利用頻度、回避策、顧客やブランドへの影響などを追加で比較し、関係者と優先度を合意する。
問題27
ワークショップで、参加者が候補リスクを挙げるたびに、その場で「低」と決めて議論を終えようとしている。改善策として最も適切なものを選びなさい。
- まず幅広く候補を識別し、その後に可能性・影響・リスクレベルを評価する
- 最初から低リスクと決め、識別を省略する
- テストアナリストだけで評価し、業務側を外す
- 影響だけを評価して可能性を無視する
解答・解説
正解:1
リスク識別は多くの候補を見つける活動、リスクアセスメントは識別後に可能性・影響を評価し、レベルを決める活動である。早すぎる評価で候補を失わないようにする。
問題28
決済機能のリスク影響を評価するために、テストアナリストが集める情報として最も適切な組み合わせを選びなさい。
- 取引頻度、金銭的損失、法的制裁、顧客への影響、回避策の有無
- ソースコードの行数とコメント数だけ
- テストケース ID の並び順だけ
- 開発者の使用するエディターだけ
解答・解説
正解:1
テストアナリストは、ビジネスドメインやユーザーへの影響を評価する。利用頻度、金銭的損失、法的制裁、顧客喪失、回避策などが代表的な要因である。
問題29
「重要な業務フローがユーザーに理解されず、誤った操作でデータを登録する」リスクへの組み合わせとして最も適切なものを選びなさい。
- 使用性レビュー、現実的なユーザーシナリオ、ユーザーを使った早期テスト、登録結果の正確性テスト
- ソースコードの行数を増やすだけ
- 受け入れテスト終了後に初めて画面を見せる
- 失敗した入力をすべて無効にして問題を隠す
解答・解説
正解:1
使用性の観点では早期レビュー・ユーザーシナリオ・使用性テストを行い、機能正確性の観点では登録結果やデータ状態を確認する。複数のリスクに複数の軽減策を組み合わせる。
問題30
会計計算の境界値と条件組み合わせが高リスクである。リスク軽減として最も適切なテスト設計を選びなさい。
- 同値分割・境界値分析で値を選び、デシジョンテーブルで条件ルールをカバーする
- 画面の色だけをレビューする
- 低リスクのヘルプ画面だけを先に自動化する
- すべての入力を 1 つの代表値にする
解答・解説
正解:1
リスクの内容に合わせて技法を選ぶ。値の境界には EP・BVA、条件の組み合わせにはデシジョンテーブルを使い、期待結果とトレーサビリティを明確にする。
問題31
残り時間が短く、まだ一度もテストしていないリスク領域が 5 個ある。ただし、決済領域だけは非常に高リスクである。最初の 1 時間の方針として最も適切なものを選びなさい。
- 決済だけを深くテストし、他の領域を一度も確認しない
- 各領域を最低 1 回カバーしつつ、決済に追加の重みを置く
- 低リスク領域を先にすべて完了する
- リスクを考慮せず、ケース番号順に実行する
解答・解説
正解:2
全領域の初期状況を把握する必要があるため横型探索が適する。ただし、決済の影響が大きいので、追加のケースや深い確認を割り当てる。
問題32
重大な未実行テストが残ったまま納期を迎えた。マネジメントがリスク移転を選ぶ場合の説明として最も適切なものを選びなさい。
- 残余リスクをユーザー、顧客、サポート、運用などの関係者へ明示し、対応を決める
- リスクが消滅したと報告する
- 未実行テストを合格にする
- 欠陥報告を削除する
解答・解説
正解:1
リスク移転はリスクを消すことではなく、受容・監視・対応の責任を関係者へ移す判断である。残余リスクと未実行範囲を明確に報告する。
問題33
同じ種類の欠陥が複数画面で見つかった。次のテストサイクルで行うべきこととして最も適切なものを選びなさい。
- 典型欠陥として分類し、未テスト画面にも同様のリスクがあるか再分析する
- すでに見つけたため、同じ分類のテストをすべてやめる
- 欠陥を別々のリスクとして必ず無関係に扱う
- 修正された画面だけを確認し、類似画面は対象外にする
解答・解説
正解:1
テストで発見した典型的な欠陥は、類似領域に潜むリスクを示す。欠陥分類、影響範囲、未テスト領域、リグレッション範囲を再評価する。
問題34
テスト開始時は「可能性:低、影響:高」だった機能で、同じ故障が複数環境で再現した。更新として最も適切なものを選びなさい。
- 実証された情報をもとに可能性を見直し、リスクレベルと優先度を更新する
- 初期評価を変更してはならない
- 影響が高いので可能性は評価不要とする
- 故障を環境ごとに隠す
解答・解説
正解:1
リスクアセスメントは継続的であり、テスト結果や環境情報に応じて可能性・影響・リスクレベルを調整する。複数環境で再現したことは可能性を高める情報になる。
問題35
可能性と影響を1〜5で評価し、リスクスコアを積で計算する。次のうち、テスト優先度の判断として最も適切なものを選びなさい。
| リスク | 可能性 | 影響 |
|---|---|---|
| A | 5 | 2 |
| B | 2 | 5 |
| C | 3 | 3 |
- Aだけを優先し、影響は考慮しない
- Bだけを優先し、可能性は考慮しない
- スコアが同じでも、影響の種類・回避策・検出可能性などを追加評価して順序を合意する
- スコアが同じリスクはテスト対象から除外する
解答・解説
正解:3
AとBはともにスコア10、Cは9である。数値は優先順位付けの支援であり、同点なら法的影響、安全性、回避策、検出の難しさなどの文脈を加えて判断する。スコアだけで自動的に結論を出さない。
問題36
「発生可能性は低いが、発生時には人命に関わる」リスクと「発生可能性は高いが、表示の軽微な乱れにとどまる」リスクがある。最も適切な対応を選びなさい。
- 可能性が高い後者だけをテストする
- 影響の重大性を踏まえて前者を高優先度とし、必要な予防・検出・緩和策を検討する
- 可能性が低いので前者をリスク一覧から削除する
- 両者を同じテストケースで扱い、影響の差を記録しない
解答・解説
正解:2
可能性が低くても影響が極めて重大なリスクは、テストだけでなく設計レビュー、フェイルセーフ、監視などを含めて優先的に軽減する。可能性だけで優先順位を決めない。
問題37
リスクワークショップで、参加者が「在庫が合わない」という事象を挙げた。リスク識別とアセスメントを適切に進める組合せを選びなさい。
- その場で可能性と影響を決め、原因や影響を記録しない
- 事象・原因・影響・影響を受ける利用者を具体化してから、可能性と影響を評価する
- 発生した欠陥でないため、リスクとして扱わない
- テストアナリストだけで技術的原因を確定する
解答・解説
正解:2
まずリスクを具体的な望ましくない結果として整理し、原因・影響・利用状況を明確にする。その後、可能性と影響を評価する。複数の関係者の知識を使うことで、評価の根拠も明確になる。
問題38
新しい本人確認画面で、利用者が手順を理解できないリスクが高い。テスト以外も含む軽減策として最も適切なものを選びなさい。
- 完成後に一度だけ受け入れテストを行う
- プロトタイプによる使用性評価、文言レビュー、利用者への説明、実装後の確認を組み合わせる
- 利用者が慣れるまでリリースし、問題を記録しない
- 画面の見た目を整えれば、操作理解も保証される
解答・解説
正解:2
リスク軽減には、欠陥を検出するテストだけでなく、レビュー、プロトタイプ、教育、設計改善なども含まれる。早期に理解しにくい部分を確認し、実装後のテストで残ったリスクを評価する。
問題39
限られた時間で、重要な決済フローは深く確認できるが、低リスクの参照画面を一度も実行できない。別の計画では、全領域を一度ずつ確認できるが、決済フローを浅くしか確認できない。選択として最も適切なものを選びなさい。
- 常に縦型探索を選び、他の領域を未実行にする
- 常に横型探索を選び、高リスク領域の深さを考慮しない
- 残余リスクと意思決定の目的を関係者と確認し、高リスクの深さと全体の最低限のカバレッジを組み合わせる
- テスト時間を超えて両方を実行する前提にする
解答・解説
正解:3
縦型・横型は目的と状況に応じて使い分ける。高リスク領域の深い検証が必要でも、未実行領域を残す影響があるため、最低限の全体カバレッジと高リスクの深さを、残余リスクとして合意する。
問題40
テストでリスクを軽減する際の説明として、最も適切なものを選びなさい。
- テストが合格すれば、リスクは必ずゼロになる
- 合格結果は特定条件下での証拠であり、未テスト条件・環境差・残存欠陥を含む残余リスクを評価する
- リスクはテスト実行後にだけ識別する
- 残余リスクはテストアナリストが独断で受容する
解答・解説
正解:2
テストはリスクを軽減するが、すべての欠陥や条件を排除するものではない。結果の適用範囲、未実行範囲、環境、検出力を踏まえ、残余リスクを関係者へ伝えて判断につなげる。
問題41
権限チェックの欠陥を修正したところ、修正箇所とは別の管理者画面で権限エラーが発生した。次のテストサイクルで最も適切な対応を選びなさい。
- 新しいエラーは修正対象外なので、元の欠陥だけを再テストする
- 修正による新たなリスクと影響範囲を再評価し、修正確認と関連する回帰テストを計画する
- 権限関連のテストをすべて削除する
- 影響が不明なので、すべてのテストを同じ優先度にする
解答・解説
正解:2
修正は新しい欠陥やリスクを生む可能性がある。発生したエラーを新たなリスク情報として扱い、変更の影響範囲と権限に関係する高リスク機能を再評価する。
問題42
料金計算の境界に関するリスクが高く、入力には「未満」「以上」「対象外」の条件がある。テスト設計として最も適切なものを選びなさい。
- 平均的な入力を一つだけ使い、発生可能性を推測する
- 境界値分析で境界付近を確認し、デシジョンテーブルで条件の組合せと矛盾を確認する
- 使用性テストだけで料金計算のリスクを軽減する
- 料金計算の期待結果を定義せず、画面表示だけを確認する
解答・解説
正解:2
リスクの性質に合わせてテスト技法を選ぶ。境界の誤りには境界値分析、複数条件の組合せやルールの漏れにはデシジョンテーブルが適している。
問題43
リスク評価会議で、開発チームは「技術的に再現しにくい」、業務担当者は「発生すると重大」と主張している。テストアナリストの対応として最も適切なものを選びなさい。
- 技術チームの意見だけでリスクを低くする
- 業務担当者の意見だけで可能性を最高にする
- 可能性と影響の評価軸を分け、各評価の根拠と不確実性を記録して、合意したリスクレベルと軽減策を決める
- 意見が一致しないため、そのリスクを削除する
解答・解説
正解:3
技術的な再現性や発生可能性と、業務・安全・法的な影響は別の評価軸である。根拠を明示して不確実性を残し、関係者間で優先順位と対応を合意する。
問題44
リスクベースドテストの限界を踏まえた説明として、最も適切なものを選びなさい。
- リスク一覧にない領域は、欠陥が存在しないとみなせる
- リスク評価が正確なら、網羅性やランダムな欠陥発見は不要になる
- リスク識別の漏れや評価の誤りがあり得るため、リスクベースの優先付けに加えて、レビュー・経験・全体的なカバレッジ確認を組み合わせる
- リスクベースドテストは、テストマネージャーだけが行う
解答・解説
正解:3
リスクベースドテストは限られた資源を重要領域へ配分する有効な考え方だが、識別漏れ・評価の偏り・未知のリスクをなくすものではない。複数の情報源と技法を使い、残余リスクを明示する。
問題45
オンライン証券サービスで、次のリスクが識別された。
- A:注文金額の丸め誤差。可能性は高いが、影響は小さい
- B:二重注文。可能性は中程度だが、顧客損失と規制上の影響が大きい
- C:取引履歴画面の一部ブラウザーでの表示崩れ。可能性・影響とも中程度
テスト時間が半分になった場合の対応として、最も適切なものを選びなさい。
- 発生可能性が最も高いAだけを先に実行し、BとCは未実行でも報告しない
- Bを最優先に、同時実行・再送・タイムアウトを含むテストと設計レビューを行い、A・Cの未実行範囲と残余リスクを明示する
- スコアを計算できないため、A・B・Cを同じ数だけランダムに実行する
- Bは可能性が中程度なので対象外とし、表示崩れのように再現しやすい問題を先に解消する
解答・解説
正解:2
二重注文は可能性だけでなく、金銭・規制・顧客への影響が大きい。リスク軽減は、テストケースだけでなく、同時性や再送を考慮した設計レビューなども組み合わせる。時間不足で実行できないリスクは、未実行範囲とともにマネジメントへ報告する。
問題46
自治体の給付金システムで、初回テスト中に「本人確認は成功したが、別世帯の口座情報が表示される」事象が発生した。開発チームは、発生条件が一度しか再現していないことを理由に、既存の権限リスクを低に変更してリリースしたいと提案している。テストアナリストの対応として最も適切なものを選びなさい。
- 再現しない以上、テストデータの問題として記録から削除する
- 権限リスクを高のまま固定し、他のリスク評価や追加情報を考慮しない
- 画面表示だけの問題として使用性リスクに分類し、権限の評価を終える
- 事象を新しいリスク情報として扱い、データ・権限・同時実行・環境を調査し、可能性の不確実性と重大な影響を分けて再評価し、未解決なら残余リスクとして報告する
解答・解説
正解:4
一度しか再現しなくても、別世帯情報の漏えいは影響が重大である。発生可能性の不確実性を調査しつつ、影響を理由にリスクを軽視してはならない。テストデータ、権限キャッシュ、同時実行、環境差を調べ、リスクレベル・軽減策・残余リスクを更新する。
問題47
次の 3 つのリスクが識別された。プロジェクトでは可能性と影響をそれぞれ 1〜5 で評価し、積を優先度とする。
| リスク | 可能性 | 影響 | 追加情報 |
|---|---|---|---|
| A: 低頻度の監査ログ欠落 | 1 | 5 | 法規制違反になる可能性がある |
| B: 商品画像の一部表示崩れ | 4 | 1 | 回避策がある |
| C: 決済金額の丸め誤り | 2 | 4 | 修正後の回帰テストが未実施 |
次のテストサイクルで最も適切な対応を選びなさい。
- B は可能性が最も高いので、A と C より必ず先に実施する
- A は可能性が低いので、法規制の影響を考慮せず後回しにする
- A と C を高い優先候補として再評価し、監査・金額計算の具体的な軽減策と未実行範囲を計画する
- 3 つの積が異なるため、数値の小さいリスクはテスト対象外にする
解答・解説
正解:3
リスクの優先度は可能性だけで決めない。A は可能性が低くても法規制上の影響が大きく、C は修正後の未確認という新しい情報がある。数値化した尺度は判断を支援するが、法的・安全上の重大性、回避策、未確認範囲を含めて再評価する。
問題48
決済処理の不具合を修正したところ、確認テストは合格した。しかし修正は税計算共通部品にも及び、税率の異なる地域のテストはまだ実行されていない。リスクベースドテストとして最も適切な対応を選びなさい。
- 修正箇所の確認テストが合格したため、関連地域のテストは不要とする
- 修正者が安全と判断した範囲だけを実行し、残りは記録しない
- 税率・地域・境界・決済結果への影響を再分析し、確認テストとリグレッションの優先範囲を更新する
- すべての機能を同じケース数で再実行し、リスク評価を行わない
解答・解説
正解:3
確認テストは修正した不具合が直ったことを確認するものだが、共通部品の変更による影響までは保証しない。変更の影響範囲、過去の欠陥、税率や境界のリスクを再評価し、関連する回帰テストと未確認の残余リスクを管理する。
問題49
残り 2 日のテストで、次の 2 つの進め方を比較している。A は決済の正常・異常・境界を深く検証してから別領域へ進む。B は全リスク領域を少なくとも 1 回確認した後、残りの時間を高リスク領域へ配分する。監査ログの存在確認だけはまだどちらでも未実施である。最も適切な判断を選びなさい。
- A と B は同じ方法なので、未実施の監査ログは考慮しない
- B は低リスク領域を先に完了する方法なので、高リスク領域には不適切である
- A は全領域を必ずカバーするため、監査ログを後回しにしてよい
- 監査ログが高リスクなら、A でも B でもそのテストを計画へ明示的に組み込み、未実行なら残余リスクとして報告する
解答・解説
正解:4
A は縦型探索、B は横型探索に近い。どちらを採用しても、重要なリスクが未実行のまま隠れることは許容されない。探索方法の選択と、各リスクの最低限のカバレッジ、未実行リスクの報告は別に管理する。
問題50
ある高リスク機能について、テストアナリストは「法規制の解釈が未確定で、十分なテスト条件を合意できない」と報告した。リリース日は変更できない。次の行動として最も適切なものを選びなさい。
- 不確実性をリスク登録簿に記録し、法務・業務責任者と条件、軽減策、受入れ者、期限を合意する
- テストアナリストが独自に法規制を解釈し、合格条件を確定する
- 条件が決まるまで問題を報告せず、低リスク機能だけを実行する
- リリース日を守るため、高リスク機能をテスト対象から削除したことにする
解答・解説
正解:1
テストアナリストはリスクを識別・評価し、軽減策の提案に貢献するが、法的・業務上のリスク受入れを単独で決める役割ではない。不確実性を可視化し、適切な専門家と合意形成を行い、残余リスクと意思決定者を記録する。