第4章:ソフトウェア品質特性のテスト

機能適合性、相互運用性、使用性、UX、アクセシビリティ、移植性を、テストアナリストの視点で扱う。

問題1

次の説明と品質特性の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

説明 品質特性
a. 計算結果が仕様どおり正しい 機能正確性
b. ユーザーの目的に対して機能の集合が適切 機能適切性
c. 必要な機能やワークフローが漏れなく実装されている 機能完全性
  1. aだけ正しい
  2. aとbだけ正しい
  3. bとcだけ正しい
  4. a、b、cがすべて正しい
解答・解説

正解:4

機能正確性は「結果が正しいか」、機能適切性は「ユーザーの目的に対して機能の組み合わせが適切か」、機能完全性は「必要な機能がすべて存在するか」を問う。

問題2

機能完全性を評価する際に、最も重要な情報として適切なものを選びなさい。

  1. 実装された画面の数だけ
  2. テスト実行にかかった時間だけ
  3. 要求・ユーザーストーリー・ユースケースと、機能・テストケースの対応
  4. 使用性アンケートの満足度だけ
解答・解説

正解:3

機能完全性は、必要な機能やワークフローが実装され、テストされているかを確認する。画面数や満足度だけでは欠落を判断できないため、要求・ユーザーストーリー・ユースケースと、機能・テストケースのトレーサビリティを確認する。

問題3

複数システム間の相互運用性テストで、テストアナリストが行う活動として不適切なものを選びなさい。

  1. アーキテクチャーや設計文書からデータ交換点を識別する
  2. 対象環境の組み合わせとデータ交換シナリオを決める
  3. 交換したデータを相手システムが正しく利用できるか確認する
  4. すべての環境の全組み合わせを、リスクに関係なく必ずテストする
解答・解説

正解:4

現実には環境の組み合わせが膨大になることがあるため、代表的な環境を選び、ペアワイズなどで組み合わせを削減することがある。相互運用性では、情報を交換できるだけでなく、その情報を利用できることも確認する。

問題4

使用性テストで測定する代表的な指標の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

  1. 正確性・完全性・移植性
  2. 機密性・真正性・否認防止性
  3. 有効性・効率性・満足性
  4. 成熟性・回復性・可用性
解答・解説

正解:3

使用性テストでは、ユーザーが目的を達成できるかという有効性、必要な資源の度合いという効率性、ユーザーが満足できるかという満足性を測定する。他の選択肢は機能、セキュリティ、信頼性に関係する特性である。

問題5

使用性の問題を SDLC の早期に発見したい。設計画面を少数の評価者が既知の使用性原則に照らして確認する方法として最も適切なものを選びなさい。

  1. ペアワイズテスト
  2. リグレッションテスト
  3. テストデータの匿名化
  4. ヒューリスティック評価
解答・解説

正解:4

ヒューリスティック評価は、使用性に関する原則を使って UI を体系的に評価するレビューである。要件や設計の早期に実施でき、スクリーンショットなど視覚資料も役立つ。実際の利用者がタスクを完了できるかを測定する方法とは目的が異なる。

ユーザーが実際に操作する使用性テスト、使用性レビュー、調査・アンケートを組み合わせて使うこともできる。

問題6

アクセシビリティテストに関する説明として、最も適切なものを選びなさい。

  1. システムテストの最後だけで実施すればよい
  2. 障害や特定のニーズを持つユーザーも利用できるかを確認し、関連標準や法規を考慮する
  3. 見た目の好みだけを評価する
  4. アクセシビリティは使用性と無関係なので、テストアナリストの範囲外である
解答・解説

正解:2

アクセシビリティは、障害を持つユーザーを含む特定のニーズや制限を持つユーザーが利用できるかを扱う。設計時から考慮し、統合テスト、システムテスト、受け入れテストまで継続する。WCAG などの標準や法規も考慮する。

問題7

次の事例と移植性の副特性の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

事例 副特性
a. 新しい OS やブラウザーの組み合わせで動作させる 環境適応性
b. ソフトウェアをインストール・アンインストールする 設置性
c. 既存のコンポーネントを別の版へ交換する 置換性
  1. aだけ正しい
  2. aとbだけ正しい
  3. bとcだけ正しい
  4. a、b、cがすべて正しい
解答・解説

正解:4

移植性には、設置性、環境適応性、置換性がある。テストアナリストは、対象環境の組み合わせを識別し、ペアワイズなどを使ってテストを設計できる。移植性のテストでは、テクニカルテストアナリストと協力することがある。

問題8

機能正確性テストのテストオラクルとして使えるものを、最も適切な組み合わせから選びなさい。

  1. テスト担当者の経験と、前回の合否だけ
  2. 画面の色とブランドガイドラインだけ
  3. 欠陥の件数とテスト実行時間だけ
  4. 仕様、明示・暗黙の要件、妥当性が確認された旧システム
解答・解説

正解:4

機能正確性では、仕様や要件、場合によっては妥当性を確認した旧システムをオラクルとして、計算・データ・状態の正しさを検証する。旧システムを無条件に正解とみなすのではなく、要求との整合性も確認する。

問題9

機能適切性テストを主に実施するテストレベルとして、最も適切なものを選びなさい。

  1. 常にコンポーネントテストだけ
  2. システムテスト。必要に応じて統合テスト後半でも行う
  3. リリース後だけ
  4. テストレベルには依存せず、必ず受け入れテストだけ
解答・解説

正解:2

機能適切性は、指定された目的やユーザーの任務に対して機能の集合が適切かを評価するため、通常はシステムテストで行い、統合テスト後半で行うこともある。

問題10

アジャイルプロジェクトで機能完全性を評価する際の情報として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 画面数と、実装者が完了と宣言した機能だけ
  2. 失敗したテストの割合だけ
  3. 実装されたユーザーストーリーやフィーチャーと、受け入れ条件・テストケースの対応
  4. 開発者の在籍年数だけ
解答・解説

正解:3

アジャイルでは、実装されたユーザーストーリーやフィーチャーを基に機能完全性を測定することがある。受け入れ条件やテストケースとの対応を追跡し、単に画面数や完了宣言だけでなく、必要な機能が実装・テストされているか確認する。

問題11

機能適合性テストと使用性テストの着眼点の組み合わせとして正しいものを選びなさい。

  1. 機能適合性は「何をするか」、使用性は「どのように使われるか」に重点を置く
  2. 機能適合性は見た目だけ、使用性は計算結果だけに重点を置く
  3. 両者は同じなので分ける必要がない
  4. 使用性はテストできない
解答・解説

正解:1

機能適合性は、テスト対象が何をするかを扱う。使用性は、ユーザーがどのように操作し、目的を効果的・効率的・満足して達成できるかを扱う。

問題12

相互運用性テストで、意図した対象環境に含めるべきものとして最も適切なものを選びなさい。

  1. テスト担当者が普段使う個人 PC だけ
  2. 本番で使わない環境を網羅することだけ
  3. データ交換を行わない画面の見た目
  4. ハードウェア、ソフトウェア、ミドルウェア、OS などの意図したバリエーション
解答・解説

正解:4

相互運用性では、情報交換に関係するハードウェア、ソフトウェア、ミドルウェア、OS などの対象環境を識別する。すべてを実行できない場合は代表的な環境を選ぶ。

問題13

システム A からシステム B へ送った日付データが、B では別のタイムゾーンとして解釈された。この欠陥の分類として最も適切なものを選びなさい。

  1. 相互作用するコンポーネント間の不適切なデータ交換
  2. インストール手順の欠陥
  3. ユーザーストーリーの独立性の欠陥
  4. テストスイートの優先度の欠陥だけ
解答・解説

正解:1

相互運用性テストでは、フォーマット、意味、境界、タイミングなど、コンポーネント間のデータ交換が適切かを確認する。

問題14

ユーザーエクスペリエンス評価で考慮する要因として、最も適切なものを選びなさい。

  1. コンパイラーの最適化だけ
  2. ソースコードの行数だけ
  3. テストケース ID の形式だけ
  4. ブランドイメージ、相互作用、ヘルプ・サポート・トレーニング
解答・解説

正解:4

UX は直接操作だけでなく、ブランドへの信頼、相互作用、ヘルプ・サポート・トレーニングなど、利用体験全体を対象にする。

問題15

アクセシビリティを高める手段として適切なものを選びなさい。

  1. 文字サイズを固定し、変更できなくする
  2. 音声入力を禁止する
  3. 色だけで情報を伝える
  4. 非テキストコンテンツに同等の代替テキストを提供する
解答・解説

正解:4

音声入力、代替テキスト、テキストサイズ変更などは、障害や特定のニーズを持つユーザーの利用可能性を高める。色だけに依存する設計はアクセシビリティ上の問題になり得る。

問題16

使用性テストの設計・仕様化で協力する相手として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 監査とは無関係な営業担当だけ
  2. テスト対象を一度も知らない人だけ
  3. 受け入れ基準を知らない人だけ
  4. 使用性テストの専門家や人間中心設計の専門家
解答・解説

正解:4

テストアナリストは、使用性テストの専門スキルを持つ担当者や人間中心設計を理解する使用性設計エンジニアと協力することが多い。

問題17

使用性レビューを要件や設計の段階で行う利点として最も適切なものを選びなさい。

  1. ユーザーの意見が不要になる
  2. 使用性テストを永遠に不要にできる
  3. 機能要件のレビューを禁止できる
  4. 使用性問題を早期に発見し、修正コストを抑えられる可能性がある
解答・解説

正解:4

要件や設計の早期レビュー・ヒューリスティック評価により、実装後や受け入れ時より早く使用性問題を見つけられる可能性がある。

問題18

設置性テストの目的として最も適切なものを選びなさい。

  1. 様々な構成でインストール・アンインストールができ、手順やメッセージも適切であることを確認する
  2. ソフトウェアがどの OS でも設計変更なしに動くことだけを確認する
  3. 別コンポーネントへの交換だけを確認する
  4. ユーザーの満足度だけを測る
解答・解説

正解:1

設置性テストでは、様々な構成でのインストール・アンインストール、手順の正確性、インストール後の機能、使用性、エラー処理などを確認する。

問題19

環境適応性テストで、まず識別すべきものとして最も適切なものを選びなさい。

  1. サポート対象の OS、ブラウザー、バージョンなどの対象環境と組み合わせ
  2. テスト担当者の好きなブラウザーだけ
  3. 本番で利用しない環境だけ
  4. 画面の文言だけ
解答・解説

正解:1

環境適応性では、ハードウェア、OS、ブラウザー、ミドルウェア、クラウドなどの意図した対象環境を識別し、組み合わせをカバーするテストを設計する。

問題20

置換性テストの例として最も適切なものを選びなさい。

  1. 在庫管理システムのスキャナーを新しい機種に交換し、機能統合を確認する
  2. 同じ画面で文字サイズを測る
  3. 同じ入力値を 1 回だけ実行する
  4. ユーザーストーリーの文章をレビューするだけ
解答・解説

正解:1

置換性は、システム内のソフトウェアやコンポーネントを他のものへ置き換えられる能力を扱う。IoT のようにハードウェア交換が多いシステムで重要になる。

問題21

OS、ブラウザー、ミドルウェアに多くのバリエーションがある。組み合わせ数を抑えながら環境間の相互作用を確認する方法として、最も適切なものを選びなさい。

  1. ペアワイズテスト
  2. 満足性のアンケートだけ
  3. すべての環境を対象外にする
  4. 1 つの環境だけで実行する
解答・解説

正解:1

環境パラメーターの組み合わせが多い場合、ペアワイズテストで 2 パラメーター間の値ペアをカバーし、実行可能なサブセットに削減できる。重要・両立不能な組み合わせは別途考慮する。

問題22

次の要件から導くべきテスト条件として、最も適切なものを選びなさい。

「利用者は 3 回連続してパスワードを間違えるとロックされ、管理者による解除までログインできない」

  1. 1 回目、2 回目、3 回目の失敗、ロック後のログイン、管理者解除後のログイン
  2. 正しいパスワードで 1 回ログインするだけ
  3. パスワード欄の色だけ
  4. 管理者画面を対象外にする
解答・解説

正解:1

この要件には回数の境界、状態遷移、解除処理が含まれる。失敗回数の境界値、ロック状態での無効操作、解除後の復帰をテスト条件に含める。

問題23

料金計算の「未満/以下」の境界と、割引条件の組み合わせを検証したい。組み合わせとして最も適切なものを選びなさい。

  1. 境界値分析とデシジョンテーブル
  2. 使用性アンケートだけ
  3. 置換性テストだけ
  4. チェックリストを使わずに実行する
解答・解説

正解:1

境界値分析で「未満/以下」などの境界のずれを探し、デシジョンテーブルで割引条件の組み合わせとアクションを確認する。

問題24

性能テストで応答時間が遅いことが判明した。テストアナリストが認識すべきこととして最も適切なものを選びなさい。

  1. 性能の問題は使用性にも影響し得るため、品質特性間の重複を考慮する
  2. 品質特性は完全に独立しているため、使用性には影響しない
  3. 性能の問題があれば、機能テストもすべて不要になる
  4. テストアナリストは他の品質特性を一切考慮しない
解答・解説

正解:1

応答が遅すぎると、ユーザーが効率的に目的を達成できず、使用性にも影響する可能性がある。品質特性の責任分担が異なっても、重複・依存関係を理解することが重要である。

問題25

次の仕様から、機能・使用性・移植性を考慮したテスト条件として最も適切なものを選びなさい。

「スマートフォン利用者は、対応 OS の最新版ブラウザーから商品を検索し、検索結果を確認できる」

  1. 商品検索の正確性、検索操作の有効性、対応 OS・ブラウザーの組み合わせ
  2. 対応外 OS のすべての組み合わせだけ
  3. 商品データを確認せず、画面の色だけ
  4. 検索機能をテストせず、インストールだけ
解答・解説

正解:1

仕様から、検索結果の正確性という機能正確性、利用者が検索を完了できる使用性、対応 OS・ブラウザーで動く環境適応性をテスト条件に導く。

問題26

次のテスト条件の分類として最も適切なものを選びなさい。

「検索結果に、検索条件に一致する商品が漏れなく含まれる」

  1. 機能適切性
  2. 機能完全性
  3. 使用性
  4. 移植性
解答・解説

正解:2

必要な機能が漏れなく提供されているかを確認する条件なので、機能完全性に該当する。「一致する商品が正しいか」は機能正確性の観点になり得るが、ここでは漏れなく含まれることが焦点である。

問題27

次のうち、機能適切性を主に評価するテスト条件はどれか。

  1. 税率を正しく適用して合計金額を計算する
  2. 購入者が必要とする購入履歴の検索機能を提供する
  3. 検索結果を100ミリ秒以内に表示する
  4. 画面をスクリーンリーダーで操作できる
解答・解説

正解:2

機能適切性は、機能が指定された目的に適しているかを扱う。1は正確性、3は性能、4はアクセシビリティを含む使用性の観点である。

問題28

決済サービスとの連携機能について、相互運用性を評価する組合せとして最も適切なものを選びなさい。

観点
A 決済サービスの成功・失敗応答を仕様どおり解釈する
B 決済画面の配色がブランドガイドラインに合う
C 決済サービスのタイムアウト時に自システムが重複請求を防ぐ
D 異なる決済サービス実装でも定めたインターフェースで連携できる
  1. A と B
  2. B と C
  3. A・C・D
  4. A・B・C・D のすべて
解答・解説

正解:3

相互運用性は、他のシステムやコンポーネントと情報を交換し、機能させる能力を扱う。A、C、Dは連携上の振る舞いである。Bは主に使用性・UXの観点であり、相互運用性そのものではない。

問題29

高齢者を含む利用者が、エラーメッセージを理解して入力を修正できることを確認したい。最も適切なテストアプローチを選びなさい。

  1. エラーコードが内部仕様どおりであることだけを確認する
  2. 実際の利用者特性を考慮し、メッセージの理解・修正完了までを観察する
  3. 正常系だけを自動実行し、エラー表示は対象外にする
  4. 文字列の長さだけを測定する
解答・解説

正解:2

使用性は、指定された利用状況で有効性・効率性・満足度を伴って利用できるかを扱う。高齢者を含む利用者への配慮はアクセシビリティにも関係し、実際に理解して目的を達成できるかを確認する必要がある。

問題30

次のテスト条件と移植性の下位特性の対応として誤っているものを選びなさい。

  1. 新しい対応OSへ移行して動作する — 適応性
  2. 対応端末へインストールして起動できる — インストール性
  3. 旧製品からデータを移して利用できる — 置換性
  4. 旧バージョンをアンインストールして新バージョンを導入できる — インストール性
解答・解説

正解:3

置換性は、同じ環境で別の製品・コンポーネントを置き換えて利用できる能力である。データ移行だけを指す特性ではない。1は適応性、2と4はインストール性の例である。

問題31

医療予約システムで、次のテスト条件が同じ期間内にすべて実施できない。リスクベースで最優先にすべきものを選びなさい。

  1. 画面のアイコンが社内デザイン規約に一致する
  2. 予約確定後に別の患者へ同じ予約枠を割り当てない
  3. 低シェア端末での画面遷移アニメーションが滑らかである
  4. 管理者向け画面の検索欄の余白が均一である
解答・解説

正解:2

同一予約枠の二重割当は、業務影響・利用者影響が大きく、機能正確性と完全性に関わる重大なリスクである。品質特性は一律に優先順位が決まるのではなく、利用状況とリスクに基づいて優先する。

問題32

大量データを一覧表示する機能で、完全性を高めるため全件を一度に表示すると応答時間が悪化する。テストアナリストの対応として最も適切なものを選びなさい。

  1. 完全性だけを優先し、性能の悪化を欠陥とみなさない
  2. 性能だけを優先し、表示漏れの確認をやめる
  3. 利用状況・リスク・受け入れ基準を確認し、両特性の測定可能な期待値を合意する
  4. どちらもテストせず、利用者の判断に任せる
解答・解説

正解:3

品質特性は互いに影響し得るため、要件・利用状況・リスクを踏まえた測定可能な基準が必要である。テストアナリストは関係者と期待結果や優先順位を明確化する。

問題33

あるAPIが外部システムと連携し、利用者向け画面から利用される。テストアナリストがテスト条件を整理する組合せとして最も適切なものを選びなさい。

  1. APIの応答形式だけを単体テストする
  2. 画面の見た目だけを受け入れテストする
  3. API単体の機能正確性、外部システムとの相互運用性、利用者シナリオでの使用性を分けて考える
  4. すべてを一つの性能テストにまとめる
解答・解説

正解:3

品質特性とテストレベルを混同せず、APIの正確性、外部連携、利用者視点のシナリオをそれぞれテスト条件として整理する。異なる観点を分けることで、欠陥の原因や不足範囲を分析しやすくなる。

問題34

「利用者が簡単に操作できる」という要求をテスト可能にするため、最も適切な追加情報はどれか。

  1. 開発者が簡単だと感じること
  2. 対象利用者が指定タスクを完了する割合、時間、エラー数などの目標値
  3. 画面のソースコード行数
  4. テスト担当者の主観だけ
解答・解説

正解:2

使用性は利用状況に依存するため、対象利用者、タスク、完了率・時間・エラー数などの測定方法と目標値を定めるとテスト可能になる。

問題35

キーワード駆動テストを導入するプロジェクトで、テストアナリストの担当として最も適切なものを選びなさい。

  1. 自動化フレームワークのドライバーを実装する
  2. 業務シナリオを分析し、キーワード・テストデータ・期待結果を定義する
  3. CIサーバーのネットワークを構築する
  4. すべての性能ボトルネックをコードレビューする
解答・解説

正解:2

テストアナリストは業務的に意味のあるテスト条件、キーワード、データ、期待結果を定義する。自動化基盤や技術的実装は自動化エンジニアやテクニカルテストアナリストなどと協力して行う。

問題36

次の要求に対するテスト条件の組合せとして最も適切なものを選びなさい。

「利用者は、権限に応じた注文だけを参照でき、表示される注文情報は完全かつ正確であること」

  1. 注文の表示有無だけを確認する
  2. 権限ごとの参照範囲、必要な注文の漏れ、各注文情報の正しさを確認する
  3. 表示速度だけを測定する
  4. 画面の配色が利用者の好みに合うかだけを確認する
解答・解説

正解:2

権限に応じた適切な範囲は機能適切性、必要な注文の漏れは機能完全性、注文情報の内容の正しさは機能正確性に関係する。品質特性を分解して条件化する必要がある。

問題37

外部配送サービスとの連携で、同じ配送情報をJSONとCSVの両形式で送受信する。相互運用性のテストとして最も重要な組合せを選びなさい。

  1. 自システム内部のクラス名と画面色
  2. 形式ごとのエンコード、必須項目、日時・文字コード、エラー応答の解釈
  3. 自システムだけの単体計算
  4. 配送サービスを使わない画面の操作感だけ
解答・解説

正解:2

相互運用性では、連携相手との情報交換と解釈が正しく行われるかを確認する。データ形式、必須性、日時や文字コード、異常応答などの境界を含めて評価する。

問題38

検索画面の改善前後で、利用者テストの結果が次のようになった。使用性について最も適切に判断できるものを選びなさい。

タスク完了率 平均時間 平均誤操作数
改善前 90% 40秒 1.0
改善後 96% 55秒 0.2
  1. 時間が増えたので、すべての使用性が悪化した
  2. 完了率と誤操作は改善しているが、時間の増加を含め利用状況・目標値に照らして総合評価する
  3. 完了率が上がったので、他の指標は無視できる
  4. 誤操作が減ったので、対象利用者を確認する必要はない
解答・解説

正解:2

使用性は有効性、効率性、満足度など複数の観点で評価する。改善後は完了率と誤操作が良くなった一方、時間は増えているため、タスクの性質や合意した目標値を踏まえて判断する。

問題39

アクセシビリティ要件に関するテストとして、最も適切なものを選びなさい。

  1. キーボードだけで主要操作を完了でき、フォーカス順序・名称・エラー通知も理解できることを確認する
  2. マウス操作が速ければ、キーボード操作は対象外にする
  3. 色のコントラストだけを確認し、スクリーンリーダーやフォーカスは確認しない
  4. アクセシビリティは利用者の好みなので、テストアナリストは扱わない
解答・解説

正解:1

アクセシビリティは、さまざまな能力や支援技術を持つ利用者が利用できるかを扱う。キーボード操作、フォーカス、意味の伝達、エラー通知などを利用状況に応じて確認する。

問題40

同じアプリケーションを新しいOSへ移行し、旧製品から別製品へ切り替える。テスト条件と移植性の副特性の対応として最も適切なものを選びなさい。

  1. 新OSで動作することは適応性、別製品へ置き換えられることは置換性
  2. 新OSで動作することは置換性、別製品へ切り替えることはインストール性
  3. どちらも機能正確性だけであり、移植性ではない
  4. どちらも使用性だけであり、環境は考慮しない
解答・解説

正解:1

異なる環境への適応は適応性、別の製品やコンポーネントとの置き換えは置換性に関係する。インストール性は、指定環境への導入・更新・アンインストールなどを扱う。

問題41

ある要件では、データを漏れなく表示すると応答時間の目標を超え、ページングすると一部の利用者が全件確認できない。テストアナリストの対応として最も適切なものを選びなさい。

  1. 機能完全性を優先し、性能要件を欠陥とみなさない
  2. 性能を優先し、表示漏れを受け入れる
  3. 利用者の目的とリスクを確認し、ページング・検索・エクスポートなどの受け入れ条件と性能目標を関係者と明確化する
  4. 両方をテストせず、実装担当者の判断に任せる
解答・解説

正解:3

品質特性間のトレードオフは、テスト担当者が独断で解決するものではない。利用状況、業務リスク、代替操作、測定可能な受け入れ基準を明確にして、判断可能なテスト条件へ変換する。

問題42

金融商品の一覧で「利用者の目的に役立つ情報を表示する」という要求をテストする。機能正確性だけでは不十分な理由として最も適切なものを選びなさい。

  1. 数値が正しければ、利用者の目的に適していることも必ず保証される
  2. 数値の正しさに加え、対象利用者が必要な情報を見つけ、比較や意思決定に使えるかを確認する必要がある
  3. 利用者の目的はテストできないため、表示項目を無条件に増やす
  4. 機能適切性はUIの色だけを扱う
解答・解説

正解:2

機能正確性は計算や表示内容の正しさを扱うが、機能適切性は指定された目的への適合を扱う。利用者、利用状況、タスク、意思決定に必要な情報を明確にして評価する。

問題43

テストアナリストとテクニカルテストアナリストの協力として、最も適切なものを選びなさい。

  1. テストアナリストが性能モデルと監視基盤を単独で実装する
  2. テストアナリストが業務上の品質リスク・期待結果を定義し、技術担当と測定方法・環境・自動化の実現性を協議する
  3. 技術担当が利用者の業務目的と合否基準を独断で決める
  4. 品質特性ごとに情報共有を禁止する
解答・解説

正解:2

TAは利用者・業務の観点から何を確認すべきかを定義し、技術的な役割と、どう測定・実行するかを協力して決める。品質特性の評価は役割の境界を越えた連携が必要になる。

問題44

医療予約システムで「予約を登録できる」機能が合格した。しかし、同時操作で二重予約が発生する可能性がある。追加すべきテスト条件として最も適切なものを選びなさい。

  1. 正常な単一利用者の登録だけを再確認する
  2. 同時操作、競合、再送、タイムアウト時の一貫性と、利用者に示す状態を確認する
  3. 予約画面の色とフォントを確認する
  4. 機能テストが合格したので、同時実行は対象外にする
解答・解説

正解:2

単一操作の機能正確性だけでは、同時性や相互作用によるリスクを検出できない。業務影響が大きい場合、競合時の一貫性、重複防止、タイムアウト後の再試行などを条件化する。

問題45

「インストールが容易」という要求をテスト可能にする追加情報として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 誰がどの環境で、どの手順・時間・エラー許容範囲で導入できれば合格か
  2. 開発者がインストーラーを気に入ること
  3. インストーラーのソースコード行数
  4. インストール後の画面色だけ
解答・解説

正解:1

インストール性は環境、利用者、導入・更新・アンインストールの条件に依存する。対象環境、手順、所要時間、権限、エラー時の復旧などを具体化すると判定可能になる。

問題46

自治体の住民ポータルをリニューアルする。関係者から次の要求が出ている。

テストアナリストがテスト条件を整理する方法として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 画面の機能正確性だけを確認し、アクセシビリティと性能は専門担当に任せる
  2. すべてのブラウザーと外部サービスの組合せを、リスクや制約に関係なく網羅する
  3. アクセシビリティ、外部サービスとのデータ交換、ピーク負荷時の性能、対応・非対応ブラウザーでの振る舞いを、利用状況とリスクに基づく測定可能な条件へ分解する
  4. スクリーンリーダーで操作できれば、本人確認データの形式や3秒の基準も満たすとみなす
解答・解説

正解:3

この要求は使用性・アクセシビリティ、相互運用性、性能、移植性にまたがる。TAは各品質特性の期待結果を利用状況・環境・測定方法まで具体化し、環境組合せは対応範囲とリスク、制約を考慮して選ぶ。ある品質特性の合格が、他の特性の合格を保証するわけではない。

問題47

金融機関のモバイルアプリで、旧アプリから新アプリへの置き換えを行う。新アプリはiOSとAndroidに適応し、インストール時に旧アプリの設定を移行する。利用者テストでは、機能は正しいが、初回ログイン後に利用者が次に何をすべきか迷うことが分かった。テストアナリストの分析として、最も適切なものを選びなさい。

  1. 機能が正しいため、設定移行と利用者の迷いはテスト対象外である
  2. 設定移行は使用性だけ、迷いは置換性だけの問題として一方に限定する
  3. iOSとAndroidの動作確認だけで、旧アプリからの移行はテストしない
  4. 旧アプリとの置換性、OSへの適応性、インストール・設定移行の成功、初回利用の有効性・効率性を別々のテスト条件として整理し、TAは業務期待を、技術担当は環境・移行の検証方法を担当する
解答・解説

正解:4

置換性、適応性、インストール性は移植性の異なる観点であり、初回ログイン後の迷いは利用状況における使用性の問題である。設定移行はデータ・状態・権限にも影響するため、機能正確性だけでなく移行後の利用可能性を確認する。TAと技術担当は、期待結果と技術的な環境・検証方法を分担して協力する。

問題48

自治体の住民ポータルに、次の要求がある。申請内容は正確に登録され、視覚障害者もキーボードだけで完了でき、外部の本人確認サービスとエラーなく連携し、対象ブラウザーで 2 秒以内に申請画面を表示する。テスト条件の整理として最も適切なものを選びなさい。

  1. すべてを機能正確性テストにまとめ、画面表示時間は実装後にだけ確認する
  2. 登録データの正確性、キーボード操作と支援技術、本人確認のデータ交換・エラー処理、対象環境での応答時間を別の条件として定義する
  3. アクセシビリティは利用者の主観なので、本人確認の成功だけを合格基準にする
  4. 対象ブラウザーを 1 つに限定し、外部連携はモックが成功すれば本番相当の検証は不要とする
解答・解説

正解:2

1 つの要求文に複数の品質特性が含まれる場合、機能正確性、アクセシビリティ、相互運用性、性能・環境適応性を分けてテスト条件にする。各条件には利用状況、対象環境、測定方法、期待結果を対応付け、1 特性の合格で他を代替しない。

問題49

決済アプリの新版で、API の応答形式が変更され、同時に画面の購入確認が簡略化された。テスト結果は、単一端末では金額が正しく、操作時間も短くなった。一方、旧版からのデータ移行後に一部の端末だけ日付表示がずれ、支援技術では確認メッセージを読み上げない。次の分析として最も適切なものを選びなさい。

  1. 金額が正しいため、日付と読み上げは品質特性の範囲外とする
  2. 操作時間が短くなったため、旧版移行と API の互換性は確認不要とする
  3. 画面の変更なので、API と移行データの検証はテクニカル担当だけに任せる
  4. API の相互運用性、移行後データの正確性・適応性、購入確認の使用性・アクセシビリティを切り分け、端末・OS・支援技術の組合せをリスクベースで追加する
解答・解説

正解:4

単一端末での機能正確性や操作時間だけでは、変更された品質特性を網羅できない。API の形式・意味・エラー、旧版からの移行、OS・端末差、支援技術での操作とフィードバックを別々に分析し、組合せと追加テストをリスクに基づいて選ぶ。

問題50

検索結果について、「必要な情報を漏れなく表示すると応答時間の目標を超え、ページングすると一部利用者が全件を確認できない」という対立が見つかった。テストアナリストの対応として最も適切なものを選びなさい。

  1. どちらか一方をテストアナリストが独断で採用し、合格基準を変更する
  2. 応答時間だけを測定し、全件確認の要件は使用性の問題として除外する
  3. 全件表示だけを採用し、遅さは利用者が我慢できるものとみなす
  4. 機能完全性、使用性、性能のトレードオフを可視化し、対象利用者・データ量・応答時間・代替操作を含む受入れ条件を関係者と合意する
解答・解説

正解:4

品質特性間のトレードオフは、テスト担当者が独断で仕様を決める問題ではない。各選択肢の影響を測定可能な条件にし、利用者、業務責任者、技術担当者と優先度・代替手段・受入れ基準を合意してからテストする。